輸血いらずの人工関節

人工関節と出血

人工股関節と輸血

人工関節は体の奥底にある関節をいじる手術ですし、骨を削ったり切ったりしないといけないので、昔は出血が多く輸血が必要と考えられていました。若い人では、自分の血を採って保存しておく自己血貯血なども行っていました。最近は様々な工夫が行われ輸血(自己血も含めて)が行われることがどんどん減ってきています。私自身は、もともと手術前から貧血がある患者さんを除いては、人工関節で輸血や自己血をすることはほぼありません。

手術方法で出血を減らす

人工関節で出血を減らすために、手術方法も色々と工夫がされてきました。例えば、私は人工股関節では関節包を切除しないことで、手術中の出血量を40%程度減らせました。ほかにも、筋肉を切らない方法(MIS)を用いるなどを行っています。これら手術の工夫は、手術自体も難しくなることが多いので、どこの病院でも行っているわけではありません。よく主治医と相談してみるといいでしょう。

ドレーンなし

手術をした関節の周りに血液が溜まってしまわないように、体の中から血液を外に出しておくドレーンという管入れていました。この管をいてておくと、血液が固まる前に体の外に出て行ってしまうので、手術後の出血が非常に多くなります。そのため、ドレーンを入れない病院も増えてきています。

人工股関節とドレーン

低血圧麻酔

手術の最中に、薬や麻酔で血圧を低く抑えることで、手術中の出血を減らすことができるという研究があります。実は、手術の最中に出血する量と、手術の後に体の中で出血する量では、手術後の方が圧倒的に多いです。それでも、少しでもいいから出血を減らすために、可能な限り手術中の血圧は下げて行います。

トランサミン注射・内服

トランサミンというお薬をご存じですか?風邪の時や膀胱炎の時に飲んだ方もいるかもしれません。出血しているところで、血液が固まりやすくして、出血を抑える効果があります。近年、多くの病院で手術直前や、手術中に点滴や手術部位に注射することで、出血量を減らしています。