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人工膝関節の両側同時手術

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膝は両方悪くなることが多いです

膝は股関節以上に両方同時に悪くなることが多いです。そして、両膝が同じように変形してきて、O脚やX脚になってきます。片側だけ手術を行ったとしても、もう片側の膝の痛みやO脚変形が残っているため、リハビリが思うように進まないことも少なくありません。両側同時の場合は脚の長さをより正確に揃えられるため、術後に安定したリハビリが可能となります。私の患者さんでは、片側だけ行った方に比べても、両方同時に手術をした方のリハビリ速度はほとんど変わらないです。

両側同時のメリット

・左右のバランスが良い:片方だけの手術の場合は、手術していない脚にO脚が残っています。そのため脚の長さが異なり、歩きにくかったり、せっかく手術した膝が曲がって固まってしまうこともあります。両側同時では、両方の脚のアライメントがきれいになるので、バランスが良く歩けます。

・経済的な負担が少ない:手術が一回なので、麻酔も一回、リハビリも一回で、入院期間は片側の場合と比べ少し長い程度ですので金銭的な負担が減ります。

両側同時手術に必要なこと

《医師に必要なもの》

手術時間の短縮:手術時間が長くなれば長くなるほど、感染などの合併症は増えてきます。通常の病院での人工膝関節は片側で1時間半程度かかります。両方行うと3時間もかかってしまいます。少しでも合併症を減らすために、手術時間の短縮は重要です。病院によっては医師4人で両側を同時に行うところもあります。私自身はほとんどの手術で、片側の手術時間が45分以内にまで腕が上達してから両側同時を始めました。現在は両側同時に行っても1時間10分~20分程度で行えています。

出血量低減:両側での手術では出血も2倍近くになります。自己血輸血などでの対応をはじめとして、トランサミンの注射などを用いて出血量を低減させる工夫が必要です。’(⇒輸血いらすの人工関節)

 

痛みの低減:両側同時手術ではこれが一番大切ではないでしょうか。術後痛みが強いと、両方の脚に体重かけることができず、リハビリが進みません。MISの手法や、痛み止めの使い方の工夫が必要です。これらを工夫することで、片側の時とほとんど変わらないリハビリ経過にすることができています。

→人工膝関節の最少侵襲手術

​→術後の痛みを取る方法

 

《患者さんに必要なもの》

体力:両側同時は片側よりも出血量や手術時間増えますので、合併症があったり、心臓がすごく悪かったりすると行えないこともあります。病院によっては75歳以下や80歳以下と年齢制限を設けている病院もあります。

気力:片側の時も同じですが、「リハビリしよう!」、「よくなりたい!」という意欲が必要です。退院した後に出かけたい場所、旅行したいところ、会いたい友達などを思い起こして頑張ってもらっています。

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