術後の痛みはこれで無くす

~痛くない人工関節~

​昔と今では痛みがだいぶ違います。

『術後の痛みが強い手術方法をとっても、痛みが少ない手術方法をとっても、手術して1年後の歩行能力などは差がない』と言われていました。昔は、『痛くてもいいから、簡単で安全な手術方法で手術をする』という医師が多かった印象です。今は、『1年後が変わらないなら、手術直後が痛くない方法で手術しよう』と考える医師が増えてきています。

この10年で、術後の痛みを減らす方法はどんどん工夫されてきています。

手術方法の工夫で減らす

最近、筋肉や腱を切らない最少侵襲手術(MIS)が少しずつ広まっています。この方法は、術後の痛みが少なく、リハビリも早く進みます。また、昔の人工膝関節は手術中に脛骨(すねの骨)の内側から関節包や筋肉をかなり広い範囲ではがしていました。これはO脚をまっすぐにするうえで大切なことですが、術後に強い痛みを引き起こします。現在では、この脛骨内側はなるべくそのままにしておく傾向です。そのため、痛みが少なく済んでいます。ほかにも手術後の関節に血液が溜まると痛みが強いので、出血コントロールを行うこともしています。また、経験則ですが、手術時間が長いと術後の痛みが強い傾向です。医師の技術力を向上させて、手術時間を短くすることも重要なことです。

痛みの少ない手術にするには、高い技術が必要なんです。

手術直後から2日目くらいまでは、痛みが最も強いときです。この間の痛みを減らすために、ブロック注射や手術部位への注射が行われています。以前から、腰の神経周囲にカテーテルという細い管を入れて麻酔をする硬膜外ブロックという方法があります。この欠点は、腰の重要な神経の周りに注射するので、合併症が存在することです(少ないけれども・・)。それに対して、人工膝関節では大腿神経ブロックや脛骨神経ブロックが行われるようになってきています。これは、鼠径部や膝の裏で神経ブロックすることで膝の痛みを減らす方法です。比較的簡便で合併症もほとんどありません。 またブロックに加えて、手術部位の筋肉などに痛み止めや炎症止めをミックスして注射してくる、局所カクテル注射という方法があります。特に膝ではかなり効果的に痛みを減らしてくれます。

注射で減らす

痛み止めで減らす

一言で痛み止めといっても、実はいろいろなタイプがあるんです。それをうまく組み合わせることで痛みを減らしています。痛み止めの使い方も、医師ごとに少しずつ異なります。

炎症を抑えるタイプの痛み止めを手術の前から飲んでもらう病院が増えてきています。手術中から炎症が起きるのを抑えて、痛みの予防をしています。また、術後比較的長く飲んでもらうことで、炎症で痛みが出たり固くなったりすることを予防します。

痛みを感じにくくするタイプは、手術後の痛みの強い時期に飲んでもらっています。腎臓や胃などへの負担が少なく、比較的に使いやすい薬です。動くと痛みがつらい人に量を調整しながら使っています。(トラマールは気持ち悪くなる人もいるので、吐き気止めなどを併用します。)

神経痛に効くタイプの薬は、特に夜間痛が強い方に効果的です。手術後短期間だけ服用したりしています。

これらの痛み止めを、痛みの性質と強さに合わせて使い分けています。