人工股関節(THA)の寿命は長くなった

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『人工股関節を入れたら10年で再手術しないといけない?』、『人工関節の寿命は20年くらい?』

そんな話を誰かに聞いたりしていませんか?実は人工関節はもっと長持ちします。20年前の人工関節でも、まだ8~9割は問題なく使えているという報告が多いです。しかも、20年前のものに比較して、人工関節も手術の方法もずっと進歩してきています。今入れている人工関節は30年後、40年後にも問題なく過ごせている可能性が非常に高いです。私自身が手術をする時には、100歳まで人工関節にトラブルなく元気に歩くことを目指しています。

 

人工関節の再手術の原因に、人工関節の緩み、インプラントの破損、習慣性脱臼などがあります。

緩みの原因の一番の大きなものはポリエチレンや金属が使うにしたがってすり減っていく(摩耗)際に出る細かい削りカス(摩耗粉)です。摩耗粉に対して自分の免疫が反応して、同時に骨も溶かしてしまうことで緩みが生じます。現在は摩耗が起きにくいポリエチレンが使用されています。またポリエチレンが悪くなる原因は摩耗以外にも、徐々に酸化していくことがあります。

摩耗への対策:材料のポリエチレンに対してγ線を照射すると、ポリエチレン分子同士が連結します。(これをクロスリンク処理といいます)その結果、ポリエチレンの硬度が高まり摩耗しにくくなります。現在使われているライナーのポリエチレンはすべてクロスリンクされています。クロスリンク以外にも、日本の人工関節メーカーである京セラが開発した、合成リン 脂質であるMPCポリマーをポリエチレン表面に結合させたアクアラというライナーがあります。摩擦を10分の1に抑えることができるといわれています。

*クロスリンクしたライナーを体の中に入れても放射線被爆はないので安心してください

酸化への対策:クロスリンクするときにフリーラジカルというものが生じます。このフリーラジカルによって徐々にポリエチレンが酸化されてきます。このフリーラジカルに対して熱を加えることや、ビタミンEを混ぜることで対策をしてきています。

いしゃまちの私の記事、『人工股関節の取り換え(再置換)って必要なの?再置換の原因や注意したいことは?』も参考にしてください。

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