人工関節を行うか悩んでいる方、手術が怖い方へ

人工関節が怖くて、手術に踏み切れない方は多くいらっしゃいます。でも、人生は一度きりです。この後の生活でずっと痛みを抱えて、やりたいことができないで、行きたいところに行けないままでは本当に悲しくないですか。人工関節を行うことで、自分のやりたことをのびのびと行うことができて、いきいきとした人生を取り戻せます。

人工関節しないのも怖いんです

股関節や膝関節が痛いのに、『手術は怖い』、『歩けなくなったら手術を考える』などの方も多いのではないでしょうか。実は、痛いままにしておくと色々な病気を引き起こすことが分かってきています。動脈硬化が進み、心筋梗塞が起こりやすくなることが分かってきています。元気に歩けている期間(健康寿命)が短くなるだけでなく、寿命そのものも短くなってしまいます。また、動く量が減ることで骨粗しょう症が進んで腰椎の圧迫骨折を起こしたり、歩くための筋力が不足してきてしまい介護が必要になったりします。人工関節に比べて、手術をしないで痛みを放置しておくことは、目に見えない危険がたくさんあります。

痛みが強くなると、外出を控えることが多くなるのではないでしょうか。具体的に言えば、友達に買い物やランチに誘われたけれど「断った」、旅行に行きたいけれど「やめた」など、股・膝関節の痛みのために我慢したり、あきらめたりすることがあるかもしれません。このような状態になってきたら、手術を考えるタイミングかもしれません。もう一つの目安が、自分の太ももを触ってみて、痛い方の脚が痛くない脚より細くなっているようだったら手術を考える時です。太ももが細いのは、痛くてその脚を使えていない証拠なのです。両足の太さに差が出てきた時には要注意です。

人工関節で、暮らしいきいき

人工関節の手術後にダンスやバレエボールを楽しんでいる人もいますし、ジムのようなところでどんどん運動をしている人もいます。高齢の方でスキーをされる方もたくさんいます。普通に生活をしているのに加えて、人生を楽しむ趣味のスポーツをぜひやってみましょう。人工関節置換術を受けて、「買い物やバス旅行も、行けるようになりました」「友達と同じスピードで歩けるようになりました」、『足がきれいになった、歩き方を友達に褒められた』と報告してくれる方が非常に多いです。

皆さんの素敵な生活を可能にする人工関節の工夫

人工関節をして、本当に良くなったというお友達もいれば、公開しているお友達も中にはいると思います。『人工股関節』、『人工膝関節』と一言で言っても、手術の方法で全く異なる結果になります。

私の行う人工股関節は痛みが少なく、出血も少ない方法で行っております。この方法では脱臼の心配がないので、どんな姿勢もとれます。また、脚が長くならないので、逆の脚との長さの差で困ることもないです。人工膝関節でも痛みが少なく回復の早い方法で行っています。同時に手術後に床に膝がつけるように皮膚を切るところを工夫しています。

これらの工夫は、行えば行うほど手術が難しくなります。そのため、どこの病院でも行っているわけではないのです。主治医にしっかりと聞いてみましょう。

楽しい生活をサポートするリハビリの工夫

 手術後に痛みがあると、スムーズなリハビリを妨げ、術後しばらくたっても痛みが残りやすくなります。術後の痛みを取るために、手術中に関節周囲に鎮痛薬を注射し、また術後には痛み止め薬の組み合わせる工夫しています。手術後のリハビリは、ただ病院内を歩くのではなく、病院の周囲や屋外歩行の練習や階段やエスカレーターの上り下り、浴槽に入る練習など、その人その人の日常生活動作や生活環境に合わせた訓練をします。例えば、和式の生活をしている人は布団からの立ち上がる練習をします。自転車が必要な移動手段の人は、あらかじめリハビリの際に自転車の乗り方なども練習をします。靴や靴下を履く、和式トイレを使うなどの動作がスムーズにできるように、入院中に指導しています。

 メッセージ

人工関節置換術は、ひと昔前であれば60~70代の人が行う手術という印象が強かったと思います。最近では、特に重い持病がなければ80代、90代の人でも、手術を受ける方が増えてきました。逆に人工関節が長持ちになったために、30代、40代の方でも手術を行っています。変形性膝関節症、変形性股関節症と診断されたけれど、『もう一度○○したい』という希望があるかたであれば、手術を受けるのに年齢制限はありません。

手術を受けるのは怖いと感じられている方は多いと思います。手術方法は進歩しており、以前より痛みが少なく、術後の傷も小さくなっています。まだ、どの病院でも進歩した手術方法を行っているわけではありませんが、しっかり調べて納得して手術を受けてください。一度きりの人生ですから、痛みに苦しみながら好きなことができないまま過ごすのはもったいないと思います。手術をすることで、やりたいことや好きなことを我慢しない、楽しい毎日を取り戻すことができると思います。